こんにちは!ノーコード総研アシスタントの本谷です。
今回はノーコード総研、初のゲストをお呼びして、野球をはじめとするスポーツ用品の販売・開発でお馴染み、ミズノ株式会社の新規事業担当者のお二人にインタビューを行いました。ミズノさんはテクノロジーを生かし、過去にはセンサーを搭載した野球ボールのMA-Qなど、スマホと連動した商品開発も行われています。
ミズノさんがどのようにノーコードプロダクトを取り入れているのか、導入支援をされている企業様からもあわせてお話を伺い、具体的なノーコードの活用事例や可能性を探っていきたいと思います。
- 今回お呼びしたゲスト
- ミズノ株式会社 グローバル研究開発部 風間様
- ミズノ株式会社 グローバル研究開発部 船橋様
- 合同会社sowacana 安藤様
「ノーコードシフト プログラミングを使わない開発へ」著者
ノーコードエンジニアとして本プロジェクトにディレクターとして参加(https://twitter.com/ando_engineer)
(左上:北村、右上:安藤様、左下:船橋様、右下:風間様)
今回紹介するプロジェクト
野球をはじめとする総合スポーツ用品メーカーでお馴染みのミズノさんでは、社員の意見がきっかけとなり、新規事業が生まれる体制が整っています。
現在は、「女性の体調に合わせて最適なフィットネスプログラムを提供する企画」の開発を検討しており、テスト的にアプリを作成を行ったとのことでお話を伺いました。このプロジェクトでは、Bubbleというノーコードプロダクトを使ってプロトタイプを制作しています。(Bubbleについてはこちらの記事にて紹介しています。https://nocodesoken.yapp.li/knowledge/146)
事業立ち上げの難問をノーコードプロダクトを使って解決!
北村:この女性向けフィットネスサービスは、プロトタイプ版で検証を行ってから、本製品を開発するステップを踏まれていると伺いました。そのプロトタイプはノーコードプロダクトを活用して作られたのですよね?今回は、なぜ自社開発を行わずに、ノーコードプロダクトで開発されたのでしょうか?
風間:この企画は2019年に立ち上がりました。2021年末から実際にプロダクトとして需要があるのか長期の検証をした方がいいよね、という話が出ました。
この時点では、会社から本格的にアプリを出していいよと言われているわけではなく手前の段階でした。
これは本当にユーザーがお金を払ってまで使ってもらえるものなのかをスピード感を持って知るために、ノーコードでアプリの開発をしようと思ったからです。そこでノーコードの開発に精通している安藤さんにプロジェクトの参加を依頼しました。
北村:御社では、実際に1から社内で開発するプロジェクトもあるのでしょうか?
風間:基本的には外注しています。
北村:では、今回はノーコードを使うメリットが大きかったから選択されたのでしょうか?
風間:新サービスを作る場合、ウォーターフォール型で一気にアプリを作ってしまうと手戻りがきかないため、小さく早く作り、検証してまた作り直すリーンスタートアップ型の工程が必要であり、それに適したノーコードを採用しました。
どんなアイデアをノーコードで実現?
北村:実際にどんなものをノーコードで作ったのでしょうか?
風間:女性ならではの体調変化に合わせた、モチベーションを維持して運動を継続するためのサービスです。
2019年のコロナ禍に入る前、船橋が社内の新規事業提案プログラムで「女性の体調に合わせたフィットネスサービス企画」を提案しました。それはフェムテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決へと導く製品や技術のこと)に特化したサービスで、女性ならではの体調に合わせてトレーニング内容を提案してくれるというモバイルアプリを活用したサービスです。
アプリ内では、月経周期に合わせて、フィットネスレッスンの予約やトレーニング動画の配信、運動の記録もできます。
本当にお金を払って使いたくなるサービスなのか検証する段階で、ノーコードを使ったアプリの作成依頼を安藤さんにしました。
北村:最近オンラインのフィットネスは増えていますが、女性の体調に合わせたプログラムは珍しいですよね。これは検証がうまくいけば本格的な開発に入っていくのでしょうか?
風間:はいそうです。ただ、今は少し方向性を変えた方がいいという声も出てきていて修正中です。もしかするとオンラインフィットネスが正しいかどうかも判断する必要があり、プロダクトの内容が変わる可能性もあります。
ノーコードコンサルタント、安藤さんの役割とは?
北村:ノーコードコンサルタントとして活躍中の安藤さんですが、今回はどのような役割でプロジェクトに関わったのか教えてください。
安藤:今回はミズノさん側で、ある程度デザインが固まっていたので、動作部分を作成するお手伝いをしました。Bubbleの制約がある中で、できることできないことを随時相談をしながら作りました。Bubbleは初めて使う方には少し説明が必要なので、その役割を担いました。
僕一人で中身まで作れたのはノーコードプロダクトならではです。通常は困難な画面の遷移まで作ることができました。
北村:今回要件が十分定まっていない中、どのように開発を進めたのでしょうか?ノーコードだからこそ柔軟にできた、というエピソードがあれば知りたいです。
安藤:要件が決まってない中でもうまくいったのは、風間さん、船橋さんのノーコードプロダクトへの理解が早かったのもあります。便利なプロダクトではありますが、Bubbleでもできないことがあるので、それを理解いただきつつ、代替案を出した時の判断が早かったです。ノーコードだから動作をイメージしながら進めることができました。
北村:大企業ですと一般的に、新しいものを導入する場合稟議に時間がかかったりしますよね。今回も、意思決定で難しい部分などはあったのでしょうか?
風間:今回の場合は、完全に新規事業のプロトタイプということなので二人で決めることができました。
北村:プロトタイプが出来上がるまでどのくらいでしたか?
船橋:1ヶ月程度で完成しました。通常の開発よりもだいぶ早かったですね!
風間:早すぎて動画素材などの準備が追いつかないくらいでした!簡単なテキストの変更などは自分達で作ることができてそれもスピードアップにつながりました!
簡単な操作だから、自分達で修正ができるノーコードのメリット
北村:一般的なサービス開発の場合、納品されてから管理画面を見ることが多いと思うのですが、今回の場合はどうでしたか?
安藤:私が製品のベースを作ってから、ある程度完成した早い段階でお二人にはBubbleの管理画面を公開していました。一緒に管理画面を見ながら修正ができるのはとても便利です。
北村:今回の開発について、ミズノさん側はお二人だけだったのでしょうか?
風間:実働は二人でした。デザイナーさん、アプリ開発経験のある担当者へ、確認やアドバイスを頼んだりもしました!
北村:ずいぶん少ないメンバーでできたんですね!ノーコードでないと、エンジニア、企画担当、など最低でも5〜6名は必要ですよね。納品後のコンテンツの差し替えなどはどなたが行ったのでしょうか?
安藤:納品後の修正はミズノさん側で行っていました。
北村:そうなんですか!運用保守はどのように行っていたのでしょうか?簡単にできましたか?
風間:すごく簡単でした!Bubbleは英語表記だったのですが、そんなに難しいということはなかったです。
(Bubbleのトップページ)
社内の評判は?
北村:Bubbleを使ってのプロダクト開発について社内の評判はどうでしたか?決済者の方の感想なども聞きたいです。
風間:とても好評でした。社内の人からも「プロトタイプが簡単にできてよかったですねと!社内勉強会をしましょう!」という声まであがっています。
これまで見てきたものと比べると圧倒的に安いよねといってもらえました。しかし、ノーコードでのプロダクト開発自体が新しいことなので説明が少し大変でした。
船橋:新規事業のためいろんなことが初の試みなので、管理側も導入には少々慎重ではありました。でも、今回使ってみてノーコードという手段があるんだ!と認知されて導入のハードルが下がりました。
ノーコード導入のデメリットとは?
北村:メリットはたくさん伺えたのですが、逆に難しかった事はありましたか?Bubbleは新しい事業のプロダクトを作るときにおすすめでしょうか?
風間:特に思いつかないくらい簡単に使えました。間違いなくおすすめのプロダクトだと言えます。
船橋:Bubbleは機能の制限はありますが、今回は最小限の機能で検証したいという思いがあったので、シンプルで使いやすかったです。しかしこの検証が進んだ時に、本製品への切り替えがどうなっていくんだろう?という気持ちはあります。
北村:実際に製品化に向けて進んだ際には安藤さんはどのように関わっていくのでしょうか?
安藤:エンジニアに伝える役割が発生する想定です。でもエンジニアリングやコードを書くのもわかるので、指示を出すという感じで入ると思います。仕様書がいらないのがメリットかなと。ディレクターとして入る予定です。
北村:安藤さんのような、ノーコードプロダクトとそれを使いたい人を繋ぐのは新しいポジションですよね!
今後もし本格リリースする場合にはBubbleのデータベースの設計や管理画面を見せて設計されるんですか?
安藤:はい、設計は管理画面を見せて行います。Bubble内の情報が仕様書になっている感じです。ノーコードプロダクトの管理画面は、エンジニアでなくともわかりやすいデータ構造です。誰もが操作・閲覧でき、分析できることは大きなメリットです!
まとめ
ノーコードにはたくさんのメリットがありますが、今回の場合はエンジニアでなくとも一つの同じ画面を見ながら、製品を作り込めることが大きなメリットでした。「こんなプロダクトを作りたい!」という思いを強く持った人が開発に直接関われるのは重要なことです。
今後もノーコード総研では、個人から大企業まで幅広く活用されている事例を通じ、より良いノーコードツールの使い方を探っていきたいです。