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ノーコードBIツールで目指せ業務効率化!Looker Studioを解説

2022.12.15

こんにちは。株式会社ヤプリの阿部と申します。データサイエンティストを名乗って、はや10年が過ぎました。

ここノーコード総研の分類で「データ管理」という分野があると聞きつけ、勢いで記事執筆を申し出てしまいました。

僭越ながら、データ管理向けのノーコードBIツールの1つと言える、Looker Studioをご紹介します。BIはビジネスインテリジェンスの略です。

ノーコードBIツールとは

まずBIツールについて簡単にご紹介します。Wikipedia(※1)によると、

「ビジネスインテリジェンスとはビジネスに関するインテリジェンス、すなわち事業上の意思決定に用いられる知見およびそのためのデータ収集・分析・配布を意味する。BIツールはこのビジネスインテリジェンスを支える道具の総称である。」

です。今回は、ノーコードでデータ収集・分析・配布を実現するツールを、ノーコードBIツールと呼びます。データに関して、収集から配布までの一連の作業をノーコードで実施できたら便利ですよね。

Looker Studioとは

Looker Studioは、Googleが提供する無償のBIツールです。分析に用いるデータ元(データソース)によっては有料となる場合もありますが、基本的には無料で利用できます。

2018年以前はGoogleデータスタジオというサービス名でしたが、その後Googleデータポータルという名称を経て、2022年10月からLooker Studioとなっています。

短期間で名前が複数回変わっているため、つい昔の呼び方もされがちなLooker Studioですが、サービスとしては継続的に改善されており、リリース当初に比べて圧倒的に使いやすくなったと私は感じています。Googleへの信心が高まるばかりです。

無料でどこまで対応できるのか不安を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、大体のニーズには対応可能です。機能的な側面で考えると、有償BIツールでなければ対応しにくい代表ケースとしては以下3つが挙げられます。これらを除けば、大半のケースは無料の利用範囲で対応できると私は考えます。

・数百万レコード以上の大規模なデータを扱う
・アクセス権を組織情報と紐付けて管理する。あるいは商用サービスとしてSLA(サービス品質保証)を満たすデータ分析ツールを展開する
・集計ではカバーできない高度な分析を実施する

1点目に関しては、データ元として例えばクラウド データウェアハウスのGoogle BigQueryを接続すれば、BigQuery側で利用料金が発生しますが、大規模データもLooker Studioで高速に扱うことができます。2点目に関しては、Looker Studio Proという有償版にアップグレードすると対応しやすくなります。

Looker Studioは年々BIツールとしての存在感を高めています。利用方法についての解説記事や書籍も多く存在しますので、興味をお持ちの方はそうした資料をご参考頂けたらと思います。

さて、ここからは、ノーコードBIツールとしてのLooker Studioの特徴をご紹介します。

Looker Studioで実現できる業務効率化

BIツールの用途は多岐に渡りますが、業務効率化観点でお話しすると、例えば以下のようなケースで活用できます。

・成果の達成状況を、毎回同じフォーマットでレポートする
・営業資料に掲載するデータを、顧客のタイプに応じて選択して貼り付ける

上記のようなケースは、Looker Studioでダッシュボードを作成し、URLを配布するだけで分析データを共有できます。そして必要に応じてフィルターを選択してもらったり、PDFでダウンロードして印刷してもらったりすればOKです。レポートのPDFをメールで定期送信することも可能です。

つまり、定型的なデータを一律に計算して定期的にアウトプットしたい場合に、Looker Studioは役立ちます。従来であれば、例えばMicrosoft ExcelでVBA(Visual Basic for Applications)をコーディングしてマクロを実行していたようなフローを、ノーコードで実現できる可能性があります。

弊社でも、顧客向けの定期的なレポートをLooker Studioで運用したり、社内の情報共有向けに利用したりと、多くの場面で活躍しています。

その他の事例としては、クリスプ・サラダワークスを展開する株式会社CRISPが、CRISP METRICSで社内のKPIを外部公開しています(※2)。またオープンデータの可視化を試すようなイベントとして、『山口県のcovid19オープンデータをGoogleデータポータルで可視化してみた』などがあります。Looker Studioのイメージをつかみたい方はご参考ください。

Looker Studioを採用するメリット

ここまで無料のノーコードBIツールとして、Looker Studioを紹介してきましたが、他にも無料のBIツールはあります。そうしたツールと比較して、Looker Studioの利点として挙げられる点が2つあります。

1つは、800種以上のデータに多様なデータに接続できることです。聞き馴染みがないツールも多いかと思いますが、マーケティング関連ツールが充実しています。

残念ながら2022年12月現在、Microsoft Excelには直接接続できませんが、csvファイル形式で保存してアップロードするか、Googleスプレッドシートに転記すると、Looker Studioから接続できるようになります。初めてLooker Studioを試すときは、Googleスプレッドシートへ転記するとMicrosoft Excelの要領でデータ元を確認しながら使用感をつかめるので、理解しやすいでしょう。いずれにしても無料で利用可能です。

もう1つは、学習コストが低くて済むことです。データさえ接続できてしまえば、Looker Studioで図表を作成したり、レポートを見やすく整えるのは、従来の表計算ソフトやプレゼンテーションソフトの要領で扱うことができます。

これまで業務でピボットテーブルを利用して図表を作成した経験があり、その結果をスライドにまとめたことがある方ならば、容易にLooker Studioを使いこなせるようになるでしょう。特にデザインの柔軟性の高さはプレゼンテーションソフトに近いので、営業資料やレポート資料自体をすべてLooker Studioで作成することも可能です。Looker Studioで置き換える範囲を広くするほど、業務効率化に大きく寄与できるのでオススメです。

終わりに

以上、ノーコードBIツールとして、Looker Studioを紹介しました。時代の流れとして、データの集めやすさは高まり続けており、活用ニーズも高まり続けています。必然、BIツールの利用頻度も着実に向上していきます。

今後どのBIツールが世の主流となるかは断言しにくいですが、それがノーコードのBIツールであることは間違いないと私は考えます。今後データ関連業務をより効率化して、創造的な時間を得るためにも、ぜひ身近なデータ管理からノーコードBIツールで始めてみましょう。

(※1):BIツール(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)https://ja.wikipedia.org/wiki/BI%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%AB

(※2):KPIを全公開する“高級サラダチェーン”CRISP、大型資金調達で描く「飲食×テクノロジー」の戦略(DIAMOND SIGNAL)
https://signal.diamond.jp/articles/-/769

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