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【特集】ChatGPT x SaaSの可能性について考える

今更聞けないChatGPTの基本情報

2023.06.07

みなさんこんにちは!ノーコード総研所長の北村です。 今年に入ってChatGPTやMidjourneyといった生成AIが一気に注目を浴びるようになってきました。連日多くのメディアで事例や政治的な動向について報じられ、TwitterなどのSNSでも「AI designer」、「Prompt designer」といった肩書きのアカウントが自身の試行錯誤した結果を披露しています。 主要なプラットフォーマーだけでなく、ありとあらゆる生成AIプレイヤー、また生成AIを活用したサービス事業者がヨーイドンでサービスをリリースしており、情報のキャッチアップができないほどです。 この勢いを見ると、2012年当時に深層学習(ディープラーニング)が注目を浴びた頃とは全く異なる次元の盛り上がりが感じられますね。 ノーコード総研ではこれまで国内外のノーコードプロダクトをご紹介してきましたが、昨今の状況を受け、初めてノーコードプロダクトでなくChatGPTに焦点をあてた特集を3回に分けてお送りします。

本特集でお伝えしたいこと

本特集では、ノーコードだけでなく、広くSaaSプロダクトに関わる方々を対象に、ChatGPTとSaaSの可能性について考察します。

まずChatGPTの基本について軽く触れた後、一般的な活用事例、さらにSaaS業界におけるChatGPTの活用事例をご紹介します。次に、ChatGPTをプロダクトに組み込むと何ができるようになるか、具体的に紹介します。続いて、ノーコードのこれからの進化について考察した上で、私が日々業務で関わっているアプリで実施した検証について見ていきます。最後に、アプリの可能性をどれだけ拡張できるか見ていくことで、いかにChatGPTひいては生成AIが重要か、私個人の意見を述べさせて頂きます。

ChatGPTとは

ChatGPTは、OpenAI社の大規模言語モデルを元に構築したAIチャットボットです。自然言語処理を活用して、人間とAIが自然にコミュニケーションを行う革新的な体験を提供しています。
本記事を読んで頂いた方には釈迦に説法かも知れませんが、念の為、まだキャッチアップする前の方々に向けてChatGPTの基本情報についてご紹介します。

ChatGPTの概要

ChatGPTは2022年11月に公開されて以降、驚くべきスピードで登録者数が伸び、史上最速で100万人を獲得したサービスとなりました。AIとチャットで会話ができるという非常に単純な体験ではあるものの、どのような入力文に対しても一定の回答を返してくれるため、まるで人間と会話しているような気にすらなります。入力文を明確且つ詳細に書くことで非常に高い精度の回答を返してくれるため、リリース以降世界中で大きなトレンドのうねりを生み出しています。

驚異的なのは、アメリカの司法試験にも合格できるほどに正確な回答を返す能力を兼ね備えていることであり、単なるAIチャットという枠を超えて多くの活用方法が検討されています。ビジネス、教育、エンターテイメントなど分野を問わず、イノベーションをもたらす源泉として認知されており、世界中がOpenAI社の一挙手一投足に注目しています。2023年4月10日にはOpenAI社CEOのサム・アルトマン氏が来日し岸田総理大臣と面会を果たすなど、政治との連携やガイドライン作りも活発に行われています。

ここからは、ChatGPTのサービス構成について少し見ていきましょう。OpenAI社は2023年5月上旬時点で、無償版と有償版を提供しており、次のように整理できます。

- チャット

  • 無償版(v.3.5)
  • 有償版(v.4, v.3.5 turboの両方を利用可能)→ChatGPT Plusというプラン

- API

  • 有償版(v.3.5)、v.4はウェイトリストに申し込んで順次解放

チャット版で現在利用可能なバージョンとしては4が精度が高く、また、v.3.5 turboが圧倒的に回答速度が早いという特徴があります。ChatGPT Plusというプランでは、$20/月を固定で支払う契約が必要となります。
APIの利用はクレジットカードの登録が必須で、v.3.5がデフォルト、v.4を利用するためにはウェイトリストへの申し込みが必要となります。ただしAPI利用の場合、$18/月のクレジットがあり、個人で利用する分にはクレジットを超えることはまずなく、実質無償で利用することができます。
チャットを利用する際は履歴がモデルのトレーニングに使用される可能性があるものの、利用者がトレーニングに使われては困る事があるため、そのような利用を許諾しない設定も提供されています。

個人利用や一人で行う業務での利用であればおそらくチャットで足りるものの、プロダクトに組み込む場合はAPIでの利用が前提となってきます。

なお、GPT-4は「マルチモーダル」という特徴を持っており、文字だけではなく、文字と画像を組み合わせたインプットと処理が可能になります。残念ながら2023年6月上旬にはまだ文字のみのインプットの提供となりますが、詳しくはこちらの記事にまとめられているためご覧ください。

画像の正確な認識、その中の文字の訂正、さらにテスト問題への回答、ジョークの理解など、もはやAIが目と脳を両方持ったような状態が生まれています。私は仕事柄ファッション業界の方々とお仕事させて頂くことが多々あるのですが、洋服の画像をインプットするだけでタグづけや洋服の特徴を回答してくれるのではないかと思っており、早く公開されないかと心待ちにしています。

主な活用方法と利点

ChatGPTは高精度な回答を返すチャットボットであるため、多様な活用方法と利点があります。ここではまずイメージを持って頂くため、簡単に一部をお見せしたいと思います。

1. Q&A: ユーザーが質問を入力すると、ChatGPTは適切な回答を生成し、情報提供や助言を行います。(活用事例:Q&A)

2. 文章生成: ユーザーがテーマやキーワードを指定すると、ChatGPTはそれに基づいた文章を生成します。(活用事例:ブログ作成)

3. 言語翻訳: 複数の言語に対応しており、瞬時に異なる言語間の翻訳が可能です。(活用事例:多言語対応)

4. コンテンツ要約: 長い文章や文書を短く要約し、主要な情報を抽出することができます。(活用事例:リード文作成)

5. チュータリング: 教育分野での活用が期待されており、個別指導や質問対応などが可能です。(活用事例:教育サービス)

まだまだ他の活用方法や事例はあるため、次の章で全体感とそれぞれの詳細を見ていきましょう。

注意点と制限

ChatGPTは革新的なサービスであるものの、忘れてはいけない注意事項がいくつかあります。例えば、最新の情報や未来に関する予測に対応する能力は限定的です。2021年9月以前の情報に関する知識しか持っていません。また、不正確な情報を回答することもあります。そのため、利用者はChatGPTの回答に過度に期待せず、回答を適度に修正しながら最終的な成果物を作る必要があります。

最新情報のキャッチアップ

本記事の冒頭で述べたように、ChatGPTをはじめとした生成AIサービスや生成AIを組み込んだサービスのキャッチアップは本当に大変です。毎日新しいサービスや実験結果がSNSに投稿されるのですが、生成AIはありとあらゆる分野に影響があることから、大量の情報が一気に押し寄せているイメージです。そのために、かなりの頻度でSNS、特にTwitterを確認しつつ情報収集を行う必要があるものの、ノイズも多く収集は容易ではありません。そのため下記に、特定の役に立つアカウントをご紹介しておきます。4人目以降は外国人ですが、Twitterは翻訳機能がついており、サービスのスクリーンショットもTweetされているため、そこまで内容把握に苦労はないかと思います。

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