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様々なサービスを連携させ、手軽に業務の自動化を実現できるZapierとは

2022.12.21

こんにちは、株式会社ヤプリで社内IT全般を担当している原口です。

私が所属しているITグループでは多くの業務をZapier(ザピアー)というサービスを使って効率化・自動化しており、今回はそのZapierについてご紹介します。

Zapierとは

最近では業務でSaaSを利用することが一般的になり、多くの企業が複数のSaaSを組み合わせて利用しています。1企業あたりのSaaS利用サービス数を見ると、国内企業では平均で約8個、アメリカ国内では平均約110個という調査結果があります。
参考:https://www.metapscloud.com/report_20201229.html

Zapierはこのように年々増加・複雑化しているサービスを統合し、操作を一元化・業務を効率化するためのサービスです。簡単にいうと、複数のアプリを連携させてより使いやすいものにすることができます。

例えば、「メールに特定のキーワードがあればチャットツールに転送し共有する」「チャットツールで特定のリアクションがあればタスク管理ツールに起票する」といったことがZapierで手軽に実現できます。

iPaaSとRPA

Zapierのように複数のサービスを統合するサービスは iPaaS(Integration Platform as a Service)に分類されます。処理の自動化という意味で RPA(robotic process automation)と混同されることがありますが、主にWeb APIで接続して処理する iPaaSに対し、RPAは画面操作を自動化するといったように、例えばEXCELで表計算をするような処理を自動化してくれます。そうすることで、人手を介さずに単純作業をロボット(RPAソフトウェア)に任せることで業務効率化が可能になります。しかしこの機能は、自動化の実現方法や利用シーンが異なります。

それぞれの特徴についてはRPAをテーマに別の機会にご紹介したいと思います。

Zapierの特徴

ノーコード

最大の特徴は複数のサービスをノーコードで統合できる点にあります。Zapierでは現在4,000以上のサービスが公開されており、対応サービスは日々増えています。これらに加えて、Zapierから公式に提供されている機能(条件分岐やデータフォーマットなど)もあり、これらも日々アップデートされています。
Zapierではコードを読み書きする必要はなく、予め用意されている処理をブラウザから選択するだけで簡単に自分たちの業務を自動化することができます。
例えば人事が管理する中途採用者を管理するスプレッドシートにデータが追加されると、そのデータをもとにしてタスク管理サービスに、次回の面接での準備事項を記載するページが作成される、といった流れが簡単に実現できます。

また、Zapierでは、標準で用意されていない処理であっても、SaaS提供者から公開されているWebAPI(アプリケーションを呼び出すためのシステム間の取り決め)を呼び出すWebhook機能があります(利用できるかは契約プランによって異なります)。
例えばクラウド型ID管理サービスOktaを例にすると、現時点ではZapierからOktaに対して実行できるのはOkta上にユーザーを作成する処理(Create User)だけです。
ユーザー作成以外に例えばユーザーの属性を変更したいといった場合、その処理が WebAPIとして公開されていれば、ZapierからWebhookで呼び出し実現することができます。

ローコード

ノーコードで利用できるのは前述の通り、SaaS提供者やZapierから予め提供されている処理だけですが、これらの処理では十分ではない場合もあります。
例えば雇用形態に応じて、特定フォーマットで社員番号を発番するといった業務の場合、ノーコードでは実現できたとしても処理が煩雑・冗長になることが予想されます。
そのような場合には、Zapierにあるコード実行処理を使うことでJavaScriptやPythonのコードを記述することができます。
当然それぞれ利用できるライブラリや実行時間に制約はありますが、シンプルにコードで実現することで、運用時の保守性を高めることができます。

インテグレーション

さらに複雑・高度な処理を実行する方法として、Zapierにはインテグレーション機能が用意されています。これまで紹介してきたようなSaaS提供者が公開している処理に該当する機能を、独自に作成して利用するイメージです。
たとえば入社対応業務では、社員の姓名のローマ字が正しいかチェックするためにサードパーティーのライブラリを利用しており、この処理をインテグレーションとして登録・利用しています。
また、インテグレーションは審査を受けて一般に公開する以外に、共有相手を指定して限定公開して利用することができます。

ヤプリでのZapier活用事例

アカウントロックを検知して専用Slackチャンネルを作成

IDP(Identity Provider、クラウドサービスなどにアクセスするユーザーの認証情報を保存・管理するサービス)に対するアカウントロックが発生した場合に、自動的に専用チャンネルを作成して関係者を招待して解決しています。
主にオンボーディングのサポートを目的としていて、特にIDPのようにロックされることによる業務影響が大きい場合に効果的です。

参考:​​https://tech.yappli.io/entry/zero-touch-onboarding-support

アカウント申請時に関係者にレビュー依頼

現時点ではまだベータとなっていますが、Zapierでは承認機能(Approval by Zapier)が利用できます。複雑なワークフローの実現には適していませんが、入力データのチェックが機械的には難しいようなケースで、クロスチェックが必要な場合に、レビュー依頼を投げ、承認された場合のみ後続処理を実行するといった処理が簡単に実現できます。

直近3ヶ月でログインがないゲストアカウントを通知

利用アカウントの適正化のため、直近3ヶ月間ログインがないゲストアカウントがあれば通知し、利用状況の確認ができるようにしています。
定期的な棚卸しは別途実施していますが、できるだけ早い段階でアラートを上げることでリスクの最小化につながります。

まとめ

このように様々なシーンで活用できるZapierですが、日本語のマニュアルや説明サイトが比較的少ない点、そもそも日本語(全角文字)に機能が対応していなかったり、挙動が不安定になるケースがありますのでその点は認識しておく必要があります。

できるだけイメージがしやすいように実際の業務の例を交えながらご紹介させていただきました。
日常業務のちょっとした自動化から、高度なワークフローの構築まで、最初はノーコードから始め、徐々に適用する業務を広げるといった段階的な導入も可能です。
Zapierには無料プランも用意されていますので、気になった方は是非試してみてください。

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